ここ数年のうちに登場するバイクは、年々性能が向上してきているため、ブレーキシステムが受ける負担は多くなってきています。もちろん公道では強烈なブレーキングをする機会はほとんどないかもしれません。しかしワインディングロードやサーキットなどでは普段の街乗りとは比較にならないほどブレーキを酷使しているのです。
一般的なステンレス製ブレーキディスクの最適動作温度範囲は350~550℃程とも言われており、このような過酷環境であるからこそ、安定した制動を維持し続けるには、ブレーキの冷却が欠かせません。
ブレーキディスクラジエーターは、ブレーキングの際に発生する熱エネルギーの変換と、放射熱を抑えるために開発されました。
キャリパーピストンとブレーキフルードに熱が伝達することを抑えることができ、ハードブレーキが続くシーンでも安定した効力を発揮させることが可能になります。
本製品は、製品としての高い精度とデザインの両立を図るために、精密にレーザーカットされた素材を、Performance Technologyのワークショップ内でCNC加工されます。その本体には、特殊なアルミニウムが使用された軽合金製のフィンも取り付けられています。このフィンのおかげで、ブレーキパッドから吸収した熱を効率良く大気中へと放熱してくれます。
これにより、ブレーキパッドの温度を最大で20℃近く低下させることに成功。特に、ブレーキ開始時の効力が飛躍的に向上しています。握り始めのフィーリングが良いと、余分にブレーキを握る必要はありませんので、熱自体の発生を抑制させられます。それによりブレーキパッドのライフが、平均して25%向上したというデータもあります。
テストでは様々なデータ収集ツールや特殊なヒートカメラを使用し、キャリパーやパッドを様々な視点から熱の伝播を確認しました。6台の異なる仕様のバイクを用い、あらゆる条件下でテストが実施され、その距離は公道で2万キロ以上、サーキットでは500時間以上にも及びます。どのカテゴリーのバイクでも同様の効果を得られることが確認できました。
これまではブレーキの安定性を求めるために、キャリパーやマスターシリンダーを高価なものに交換しなければいけないことが多く、大きな出費は避けられませんでしたが、本製品は、既存のブレーキキャリパーに装着するだけですので、フィーリングはそのままの状態で、冷却効果のみ高めることができます。